2016年3月29日火曜日

早春


豪雪地帯の羊蹄山麓も、今年はいつになく雪が少なく、雪解けも早いです。
路面にはすっかり雪が無くなりました。

 
この時期、シカたちは川づたいに越冬地(南)から北上してくるので、川べりの巡回を開始しました。村内の川はまだ、雪に囲まれています。
 
 
この日はKJが銃を持っていないからか、玄はすっかり「遊ぶべ」モードでしたね。
行く先々で、すぐにプリケツになる(笑)
 

 
 
久しぶりにのんびり遊びました。
 
 

 
ここではシカの足跡も皆無だったので、人間様もひと時、シカを忘れて、フキノトウの収穫モード。
 
 
春一番を告げる山菜ですね~。

 
玄は食べませんけど。
 
 
その後、南下して、洞爺の財田に行きましたら、留寿都とはぜんぜん違い、もうまったくと言って良いほど、雪がありませんでした。

 
久しぶりに、草の上でのボール投げをしました。とっても楽しそう。
 


 
久しぶりに、玄の山でのオシッコもしました・・・。
 
 
ただ、ここの公園内の人工の小川は、川べりも川の中のちょっとした陸地も、シカの足跡だらけでした。もちろん、公園内で銃を撃つことはできません。
 
 
しかし、地図を見ていただければ分かりますが、ここの位置は山をひとつ越えたらもうすぐに留寿都になるような場所で、KJは、ここのシカが動き出したら、留寿都にシカが出てくる時も近いと予想しています。警戒警報です。
 
 
 玄さんも、途中からボールよりシカのニオイのほうが気になってしまっていました。


 
財田は、既に木々も芽吹き始めて、遠目に見るとうっすらピンク色に染まっていました。
 
 
これまた春一番に咲く野草、フクジュソウの大群落も見つけました。感動。


カルガモも羽を休める、洞爺湖の水ぬるむ春。

 
帰宅後はさっそくフキノトウ味噌。このほろ苦さがたまりません。
苦みには、体にたまった余分な熱を冷まし、排泄作用や体内の余分な水分や老廃物を取り除く作用(デトックス効果)があるそうです。
 
 
「春苦み、夏は酢の物、秋辛味、冬は油と合点して食え」
(石塚左玄)
 
このまま一気に春といきたいですね!


 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 

2016年3月26日土曜日

後継犬のこと(つづき)


昔は、犬は家の外につながれているものだったし、雑種犬が多かったし、健康のための避妊や去勢をしていない犬も多かったように思います。

実は外につながれていたこともある、玄ちゃん

近所のあちこちに子犬がいたし、犬は、ペットショップやブリーダーから購入するものではなく、どこかからもらうか拾ってきて飼い始めるものだったような気が・・・。

玄 1か月 (札幌加我荘)

でも今は、外飼いの犬も滅多に見かけなくなったし、柴犬のメスを避妊手術をしないで飼っている方はほとんどいらっしゃらない。つまり、お嫁さん探しからして非常に難航しました。

とても仲の良いメスがお隣の村にいて、この子は外飼いかつ避妊をしていないという希少な存在なのですが、飼い主の方曰く、その子に発情が来たところは見たことがないという(涙)


それでも丹念にネット検索をする中で、子犬をとりたいというメスを見つけたことも2度ほどありましたが、その頃は、私たちに柴犬の交配についての知識があまりに不足しており、せっかくメスに乗駕した玄を適切に介助してあげることができず、失敗に終わるなど、繁殖が実現することはないままに、時が経過していきました。

そして玄が6歳を迎えた時、いよいよ時間的に猶予が無いと判断した私たちは、玄を購入するときにアドバイスいただいたOさん経由で、玄の出身犬舎である札幌加我荘を頼ることにしました。

玄 6歳

Oさんと加我さんには本当に良くしていただき、加我荘のメスに発情が来れば、玄を連れて交配に行ったり、逆にメスを借りて留寿都まで連れてきて、交配を試みたり。

玄の父 黒竜号

しかし、柴犬のオスはとてもデリケートで、自分の縄張り以外では交配できないとか、一般的に、若い時に一度でも交配させていないとメスに乗駕しなくなってしまうとか、さまざまな原因が考えられるようですが、これまでに繁殖が成功することはありませんでした。

玄 7歳

そうして直子による後継はもう無理なのではないかと考え始めていた時に、奇跡的に、本当に奇跡的に、昨年末に木夢2さんで出会うことができたのが「ふぅちゃん」です。


そこから話は急展開。木夢2ママさんの強力な仲人力と、チーム木夢2(?)の常連さんたちの応援力によって、話はトントン拍子に進み、出会ったその日に、このカップルによる繁殖プロジェクト(!)への挑戦開始が決まりました。


ふぅちゃんは、メスとしては大柄で、バランスの良いプロポーション、性格も、チャカチャカしたりウルサイところが一切無く、人見知りや物怖じしない実に堂々としたワンコさんで、留寿都でのお預かり期間中、玄とはもちろん、家族や他の犬や猫たちとも全く問題なく過ごすことができました。


それは、私たちが、優秀な猟犬であり同時に優秀な家庭犬でもある、柴犬に望む姿にあまりにぴったりなので、留寿都の家族たちからは、いっそ、ふぅちゃんそのものをもらえないのだろうか?との話も出たほどでした(笑)


それに、このカップルの相性はとても良くて、いっしょにランに放せばいつまでも飽きることなく楽しそうに遊んでいます。



こんなふうに、玄が自分からお腹を見せて遊びに誘うワンコは、これまでドンちゃん以外に見たことがありませんでした。



そして、ついに。
ふぅちゃん家を始め、木夢2ママさん他、多くのみなさんからのご協力をいただき、今、ふぅちゃんのお腹の中には玄の子どもがいます。


玄とふぅちゃんの子どもですから、必ず良い子であると信じます。



出産や子育ては、メスの側の負担が大きいもの。
ふぅちゃん家に心から感謝しながら、今はただ、ふぅちゃんが無事に出産を終えるようにと祈るのみです。



今回、玄の直子による後継を真剣に考え始めてから、何年間も、決してあきらめないKJの粘り強い取組みと、ブリーダーさん、獣医の先生たち専門家によるご指導、最後は何より柴好きネットワークのパワーによって、もちろんまだまだ予断は許されませんが、ついに、繁殖の成功が見通せるところまで来ることができました。

その過程で、柴犬の繁殖の難しさについて、多くのことを学ぶこともできました。


一方で、これまで他の犬種でも直子による後継に挑戦してきた経験上、そのようにして得られた直子が必ずしも、ペットショップやブリーダーさんから購入する子犬を上回る猟能、性質を備えているとは限らないのも現実です。

時間的、経済的負担も決して軽くはありません。


それでもなぜ、KJが、玄の直子にこだわったのかと言えば、それはたぶん、柴犬の遺伝子に未だオオカミの遺伝子の記憶が色濃く残っているように、玄の直子であれば、その遺伝子に、玄がこれまでKJとともに過ごした、数え切れないほどの猟場の記憶、戦いの記憶がしっかりと刻まれ継承されるはずと考えたからなのではないでしょうか。


「柴犬とヤマドリ猟」の著者は、柴犬を愛する理由を「我が魂の叫び」と表現されています。

玄 7歳 吹雪の白糠でシカを探す

どうぞ、ふぅちゃんが無事に出産しますように。
どうぞ、玄とその子たちと、私たちハンターが、皆で猟野に立てますように。
























2016年3月25日金曜日

後継犬のこと


柴犬を飼っている方ならご存知と思いますが、世界の85犬種のDNAを解析した結果、柴犬が一番オオカミに近かったという研究結果があります。

現代を生きる柴犬の中にも、本能としての猟能が豊かに残っていることの証拠であると思います。

 
玄を育てるに当たって私たちが参考にした本には、柴犬を狩猟犬に育てるためには、「何も訓練しなくていいから、ともかく可愛がって飼って」とあるのです。
 
もちろん、この場合の可愛がるとは、ペットとして家庭内で可愛がることではなく、鉄砲を持ち、柴犬を連れて、ただひたすらに山を歩くことを言います。
 
 
共に山を歩けば、訓練しないで柴犬を狩猟犬に育てる方法(群馬式)を、犬自身が教えてくれる。だから柴犬は楽しいよ!というのです。
 
実際、私たちも玄に対しては、他に3頭飼っているカモ猟用の洋犬(レトリバー)のような訓練をしたことはありません。
 
玄1歳 初めての穂別出猟
 
いつも車に乗せて村内の駆除巡回に同行させ、ハンターによる捕獲行為を見せているうちに、いつの間にか、シカがいれば鼻を鳴らして教えるようになり、ハンターが撃ち落としたトリ、弾が当たったシカを探すようになっていたというのが実感です。
 
3歳 初めての白糠出猟
 
経験を重ねるにつれて、シカの探し方も堂に入り、最初は尻尾を巻いて逃げていたクマを怖がらないようになり、苦手だった川もある程度の深さであれば渡れるようになりました。
 
6歳 初めての102高地
 
確かに柴犬は面白い!
 
渡河
 
特に一昨年から、村内のシカ駆除頭数が急増している中で、雪が積もる前のシカは撃たれても相当な距離を走って逃げ、多くは笹薮などの中に入ってから倒れているため、その効率的な捜索には玄の存在がとても重要であり、他のハンターからも「玄を貸してくれ」との要請がある程でした。
 
 
現在7歳の玄は、人間の年齢に換算すると44歳ぐらいの働き盛り。経験を加えてその働きぶりは、ちょうど一昨年、昨年ぐらいからピークを迎えていると思います。
 
 
しかし一方で、人間であれば44歳という年齢は、白髪が目立ち始めたり体力の衰えも気になり始める年代です。逆くしゃみを発症したり、狩猟の後の疲れぶりというかあまりに見事な寝入りぶりなどから、玄の加齢を実感せざるを得ないのも現実です。
 
 
そうした中で、私たちは、玄が良く働き元気でいるうちに、と、後継犬の確保を真剣に考えるようになりました。
 
やはり犬は犬どうし。狩猟の際の働き方は、先輩犬といっしょに連れ歩くことで、その様子を見て学ぶのが最も早いと感じているからです。
 
左からドンと玄(3か月)、マッシュ
 
その際、冒頭に記した通り、柴犬であれば潜在的猟能を、たぶん全ての個体が有しており、後継犬は必ずしも玄の直系子孫である必要はありません。
 
また、どのような個体であっても、群馬式にならえば、ただひたすらKJが駆除や狩猟に連れて歩くことで、あるいは犬は犬どうしの理屈からすれば、その子犬を玄につけて歩かせることで、おそらく血筋を問わず狩猟犬に育つことでしょう。
 
そもそも玄だって、狩猟犬用に作出された特別な子犬ではありませんでした。
 
玄 3か月
 
しかしながら、玄の長所は、これは多分にひいき目が入ってしまってはいますが、単に狩猟を良くするということだけでなく、同時に優れた家庭犬でもあるというところにあります。
 
先代猫のピーと。
 
特に厳しくしつけたわけでもありませんが、無駄吠えや拾い食い、噛み癖などがなく、子どもたちや、同居猫ともトラブルを起こしたことがない。(ただし、オス犬とはダメです(笑))
 
そうした穏やかで優しい性格が、KJの家族や周囲の人たちからも愛され、この際、KJが玄の直子をとることを目指そうと思う、強い気持ちにつながっていきました。
 
今いる猫のフットンと。
 
しかし玄の子づくりは、簡単なことではありませんでした。
 
 
(つづく)