2016年12月25日日曜日

冬の旭野


今年は札幌よりも雪が少ない留寿都ですが、12月も中旬になると、さすがにもう、除雪されない山の道路は車が走れなくなりました。

 
自分(玄)の背丈と同じぐらいの積雪なので、一歩一歩、跳ぶように、というか泳ぐように走ることになります。

 


こんなに雪が積もってからもシカがいるなんて、数年前までは考えられませんでしたが、この日は深い雪の中に3頭ほどのシカの足跡がハッキリと確認できました。
 
 
玄は、シカのニオイをたどりながら、足跡をつけて行きます。



 
シカに追いつけば吠えて知らせますが、追いつかない時は、15分もすれば自己判断で帰って来ます。この戻りの良さが、柴犬の長所の一つだと言われています。
 
 
犬によっては、シカを追いかけて隣町まで行ってしまうものもあり、ハンターにとって、犬の回収が猟以上の大仕事になってしまう場合もあります。

 
雪の中を一所懸命探したので、顔が真っ白ですね。白ゴマ柴(笑)

 
自分の足跡のニオイをとって、玄は必ず、KJのところへ帰って来ます。
 
 
それにしても、久しぶりの雪まみれ。真っ白になって、寒いし、ラッセルがしんどいし、8歳になって体もキツイと思うのですが、本当に楽しそうですね。
 
 
きっと、雪が大好きなんですね。

 
と言うよりも、KJといっしょにシカを追いかけて歩けること、いっしょに働けることが嬉しくて仕方がないんですね。犬とはそういう生き物です。
 
 
米(ヨネ)も頑張って、雪の中を走っています。
玄からは相当遅れますが、それでもちゃんと後を追って帰って来るようです。
 
注)音楽が鳴ります

ひとしきり走った後は、雪玉がついてかじかんだタマタマのメンテナンス。
サンファームの冬の風物詩? 玄のこの姿を見ると、いよいよ冬本番だと感じます(笑)
 
 
そろそろ、村内の駆除は終了。
シカを追って釧路へ、日高へと、遠征の日々が始まります。
 
 
 
 


 
 
 

2016年12月12日月曜日

リード訓練


何てったって、自由人いや自由犬の米(ヨネ)さん。


玄の時はリードをつけて歩く訓練から始めましたが、米(ヨネ)の場合はお手本になる玄がいるので、最初からフリーで走らせました。今のところ、必ず玄について帰ってきます。
 
 
齢4か月に満たずして、フリーで走るだけでなく、いきなりシカをもかじってしまいました。
(自分の獲物に口を出されて玄の目つきが複雑ですが、怒りはしませんでした。)

 
そんなわけで、すっかり逆順になってしまいましたが、ようやくリード訓練の開始です。
サンファームの敷地内、トキメの夕方散歩コースだった所を歩きました。
 
この時、初めてのリードを相当嫌がりまして、「テンションの高い酔っぱらいみたい」(KJ談)(笑)
 
 
事務所から、倉庫や選果場の建物の間を通り抜け、カモの池(もう凍っていました)、小鳥が棲む小さな川、椎茸のホダギの林を回って社員寮の横を通って戻る、一周10分間ぐらいでしょうか。
 
もっとちゃんと歩けるようになったら、トキメが好きだった神社の遊歩道に行こうね。玄の大好きな真狩川沿いの散歩道にも。
 
注)音楽が鳴ります
 
首輪にも最初は悲鳴を上げていましたが、ようやく慣れてきたようです。
不本意そうな渋い顔ですが、山中での命綱、発信機をつけるために首輪は必須です。
 
 
米(ヨネ)は働くワンコになるのだから、いつまでも自由にしてはいられないのだよ・・・。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2016年12月10日土曜日

ジビエの季節に


鷹栖町まで、エゾシカの勉強会に行って来ました。会場は、ハンターが経営するレストランです。
今日は、その内容の一部について、みなさんにご紹介したいと思います。

 
まず、10年間でのエゾシカの生息域の変化をご覧ください。(画像をクリックして拡大してご覧ください。以下同じ)

2000年には道南や日本海側ではほとんど見られなかったエゾシカが、2010年には全道いたる所で目撃されるようになった様子が分かります。

 
 
エゾシカは非常に繁殖力が強くて、メスの90%が妊娠しており、もしもハンターがとらずにいたら、4~5年間で個体数が倍増すると言われています。
 
 
実際、留寿都でも、初めてシカがとれた13年前は、珍しくて、村をあげての大宴会になったそうですが、昨年は1年間の捕獲頭数が120頭と、12年間で120倍!にもなった計算です。
 
 
そうした中、エゾシカによる農業被害額は、ピーク時には年間60億円を超え、ここ数年はハンターによる捕獲を強化した結果、ようやく減少傾向にあるものの、昨年でも43億円と依然として巨額になっています。
グラフのとおり、当然と言えば当然ですが、シカの生息数と農業被害額の推移は良く一致しており、被害を減らすためにはシカの頭数を減らすしかないことがお分かりいただけると思います。
 
 
また、エゾシカによって被害を受けるのは、農業だけではありません。
道内では、シカと自動車が衝突する交通事故が年間約2,000件、同様にJR事故は2,500件も発生しています。
 
 
つまり、北海道のどこかで毎日10数件、シカとの衝突事故が発生しているというわけで、明日はあなたが被害者になるかもしれない、ということなのです。
 
 
では、いったいどれぐらいエゾシカをとれば、シカの数が減るのでしょうか?
グラフのとおり、北海道では平成22年から捕獲対策を強化し、23年以降は毎年、1213万頭のシカをとるようになって、ようやく、シカの数が減少をし始めました。
ただし、とられなかったシカが子を産みますので、単純にハンターがとった数だけシカが減るということではなく、とった数の半分ぐらい(4~6万頭)しか減っていません。
 
 
一方、それだけ多くのシカをとらなくてはならない、ハンターの数のほうはどうなっているでしょう?
 
残念なことに、日本のハンターの数は、昭和50年の50万人をピークに急減し、現在では20万人を切る状況になっています。(このままでは、ハンターのほうが先に絶滅するのではないかと言われることもあります。)
 
 
北海道内で狩猟者登録をするハンターの数も同様に減少し、近年は8,000人程度で推移しています。
 
 
8,000人のハンターで1213万頭のエゾシカをとるということは、毎年、一人当たり1516頭のシカをとらなければいけないということです。
しかし正直な話し、自分が食べるためだけにシカをとるのであれば、肉量としては、年に1~2頭もとれば十分なわけです。
 
 
ですから、とれたシカをいかにして有効活用するかが、北海道にとって長年の課題でした。
みなさんに食べていただけるとなれば、ハンターの捕獲意欲が一段と高まるからです。
 
こうして、捕獲対策の強化と合わせて「シカの日」キャンペーンが始まり、ハンター側の実感としても、身近でシカ肉料理を食べられるお店が、この数年間で一気に増えたと感じています。
 
 
つづいて、これが一番のエポックメーキングだったと言われる、安全・安心に厳しいコープさっぽろでのエゾシカ肉の取扱いが始まり、さらに昨年からはイオンでも取り扱われるようになって、家庭で食べる肉としてのシカ肉の地位も高まりつつあります。


もちろん、エゾシカ肉の消費拡大の背景には、捕獲技術や処理技術、そして調理技術が向上したこともあります。

かつては、クサイ、かたい、と言われて敬遠されがちだったシカ肉が、今では一変し、北海道らしい、美味しくてヘルシーな食材として、飲食店やスーパーから、シカ肉が足りない、もっと欲しいという声が上がるほどになりました。

 
とは言え、エゾシカ全体の捕獲頭数から見れば、有効活用されるシカの割合はまだまだ少なく、その原因として、処理施設の数が足りない・偏在しているとか、日本は、シカ肉など野獣肉の流通に係る規制が厳しすぎる、といったことを指摘する声もあります。
 
 
始まったばかりでまだ発展途上と言える、エゾシカ肉の有効活用ですが、昨年には関係者のみなさんの粘り強い要望活動が実り、給食等での活用に不可欠な、食品成分表の中にシカ肉が取り入れられるなど、間違いなく前進してきています。
 
 
人間が、何十億円もの農業被害や何千件ものシカとの衝突事故を許容できない以上、北海道はエゾシカの数をもっと減らさなくてはなりません。つまり、ハンターはもっともっとシカをとらなくてはなりません。
 
そのためには、みなさんにどんどんシカ肉を食べていただかなくてはなりません。
 
 
・・・といったことを勉強しながら、この日は、ハンターの親子が経営するレストラン「山恵」さん(鷹栖町)で、シカ肉をメインとするコース料理をいただきました。
 
自分たちがとって、ていねいに処理をして加工、調理する、エゾシカのハム、ソーセージやローストは本当に美味しかったです。
 
 
また、シカだけではなくクマ猟の話や、山恵がここに至るまでの苦労話など、ベテランハンターである社長さんのお話が、同じハンターにとってはとても参考になって楽しかったです。
 
札幌だけではなく、シカ害に悩む地方の農村で、こうした農家レストランならぬ、「ハンターレストラン」が増えれば、エゾシカ肉の消費拡大だけでなく、狩猟やハンターに対する理解が進む気がしました。

 
お店では、エゾシカの肉はもちろん、エゾシカ肉を原料としたハム、ソーセージ等加工品を買うこともできます。
 
 
そしてなんとなんと、ドッグランまで併設されていて、犬用おやつの数々も豊富に製造、販売されているんですね。なおかつ年中無休です!
 

 
ハンターカラーのオレンジで統一された、犬用の保護服まで取り扱われていて、犬連れのハンター(少数か?(笑))にとっては実に居心地の良い、いつまで居ても飽きない、そして何度でも来たい場所でした。

 
村の防衛のためにがんばる玄&米コンビに買ってあげたいな・・・。
(山の中でもパッと目立つオレンジ色は、誤射被害を防ぐためにとても有効です。)
 
 
 玄&米を連れて、また来たいな!
 
<祝> 米(ヨネ)号 初・シカかじり