2017年12月6日水曜日

全国展余話


展覧会への犬の輸送は空輸が主流だそうですが、米(ヨネ)は飛行機に乗ったことがないので、今回は慣れている車での移動を選択しました。運転する人間のほうが大変ですが、犬第一です。

 
留寿都から函館まで高速道路も使って走り(3h)、函館~青森間はフェリー(4h)。そして、青森から和歌山までは、なんと全線高速道路です。車中での仮眠時間を含めてほぼ丸一日(23h)。

 
本州最北の津軽サービスエリア(SA)で「交通安全リンゴ」をいただいて、出発。犬のためにも人のためにも200~300キロごとに休憩しながら進みましたが、本州のSAの施設はとても充実していて助かりました。
 

 
たいていのSAには24時間営業のコンビニとガソリンスタンドがあり、ところどころにはドッグランもありました。高速道路から一度も下りずとも、特に困ることはありませんでした。
 
 
仮眠した足柄SAには、24時間営業のファストフード店と温泉までもついていました。それと、どこのSAにもきちんとゴミ箱が設置されていて、車中での飲食も多くなる犬づれ旅にはとてもありがたかったです。(また、和歌山ではどのコンビニも、外にゴミ箱が置いてありこれまた助かりました。)

 
和歌山といえば、パンダをはじめ熊野古道に高野山、南紀白浜、那智勝浦と見どころたくさんなのですが、到着するまで予想以上に時間がかかったことや(当初は青森から和歌山まで運転を交代しながら寝ずに走るつもりでしたが、さすがに無理でした。)、あくまで展覧会の参加が目的なので、到着後には、会場の下見をしたり、想定外の荒天に対応するべく長靴を買いに走ったりで忙しかったことから、観光らしい観光はできませんでした。
 
 
展覧会場のマリーナシティは、和歌山と言ってもうんと大阪寄りで、関西国際空港からは1時間弱の距離。1泊5日の陸路の強行軍を試してみて、次回からはやっぱり飛行機だ!というのが今回の結論だったりします(笑)
 
 
それでも何とか、和歌山城だけは見学。玄、ヨネにとって、お城は初体験です。まあ、犬には何のことやら分からなかったでしょうけれど、紀州犬の里でしばし江戸時代の犬たちに思いを馳せます。
 
 
泊まりは、なんと万葉の時代から!景勝地として有名だったという和歌の浦でしたので、夕方、朝の散歩で雑賀崎灯台とカゴバ台場跡だけは見てきました。(番所庭園は有料だったのでパス)
宿には柴犬を連れて展覧会に来た人たちが他にもいて、「全国展ですか?」と声をかけられました。札幌ナンバーの車を見て驚かれましたよ。道中、北海道の車に会うことは皆無でした。
 
双子島荘
 
昔の一大観光地も、今は相当さびれた感じですが、実は絶景の宝庫として日本遺産に選定されたばかりの和歌の浦です。パンフレットを見ると、海辺に沿って漁港や東照宮、天満宮などの見どころをぐるっと回る遊歩道も整備されているようで、漁港には朝市も立つようだし、観光でゆっくりと来ることができれば楽しい場所だと思います。

雑賀崎灯台
 
犬づれにはちょっと注意しなければならないこと㊙もありますので、実際に行かれる方は、散歩の前に宿にじゅうぶん確認をしてください。けど、古来、歌人たちのあこがれの地だったというだけあって、北海道では見られない、本当に美しい景色ですよね。

カゴバ台場跡(玄の背後に見えているのが番所庭園)
 
さて、和歌の浦に泊まった理由は、そもそも他に空きが無かった(汗)ためでもありますが、温泉があることと、クエ料理を食べられることがあります。二日間、車に乗りっぱなしで固まった体に温泉は有り難かった~。そしてクエ。幻の高級魚と呼ばれるものですが、丸ごと1匹でこの値段です。さすがにお土産にはできませんでした・・・。
 
 
車中泊の犬たちと留守番の家族には申し訳ないけれど、クエ鍋のフルコースということで、紀州南高梅の梅酒で乾杯した後、クエの珍味(内臓)、皮の酢の物、薄づくり(刺身)、煮つけ、握り(お寿司)、塩焼き、天ぷら、そしてクエ鍋&〆の雑炊をいただきました。
 
 
同宿の全国展組は、犬を展覧会場の支部テントに置いてきた人たちもいて、夜も遅くに到着し、朝もたぶん朝食前に早々と発って行きました。KJチームはのんびりしすぎかなあ・・・。でも、せっかく和歌山まで来たんだから、観光は無理でもせめてご当地グルメぐらいはね、と。




 
煮つけも天ぷらも非常に美味し。そして鍋の王様というだけあって、やっぱり鍋が一番美味しかったです。特にカマ、アラ、骨まわり、皮の下のプルプルが・・・なんとも、そう、甘いんです。贅沢しちゃいましたけど、食べて良かった~と。
 
 
〆の雑炊は、宿の人の手伝いを断って、KJがオレん家流でつくりました。ありきたりの表現になってしまいますが、うま味たっぷりの濃厚なクエ出汁、がからんで、これまたなんとも美味しかったです。鍋の王様の称号に納得しながら、箸をおきました。

 
今回、行動範囲が宿と展覧会場にほぼ限定された旅でしたが、会場がマリーナシティだったことも幸いし、黒潮市場でマグロにシラス、また、和歌山市内で和歌山ラーメンも食べることができました。自由時間の短さから考えて、上出来だったと思います。
  
 
黒潮市場では、シラス丼と、(写真には写っていませんが)マグロコーナーで解体ショーから即食べることができる、大海屋の本マグロ握りが美味しかったです。でも、マグロは大間で食べたほうが美味しかったように思います。飲食コーナーのほうのマグロ丼、マグロの串カツは、正直、オススメできません・・・。
 
 
 
実はシラスやマグロ以上に美味しかったのが、さすがに和歌山、紀州南高梅の梅干しと醤油(和歌山が発祥の地だそうです)でして(笑)梅干しはさっそくお土産に買って帰りましたし、あの醤油はどこの何という醤油だったのか、マリーナシティに電話するなどして現在調査中です。
 
 
和歌山ラーメンを全国区にしたと言われる有名店、井出商店にて、とんこつ醤油系の細麺中華そば。カウンターに早寿司(サバの押寿司)、太巻き、ゆで卵がドンドンと積んであるのも和歌山流だそうです。うん。有名店だけあって、ハズレの無いお味。お土産ラーメンも買ってしまいました。 
  

 
最後に北海道では見ることのできない、ミカン畑と古墳(!)を急ぎ足で見て、もちろんお土産にミカンも山盛り買って、再び高速道路で一気に青森をめざす、帰路につきました。
犬たちは、行きも帰りも道中、良く食べ良く遊び良く眠り、超長距離の長時間移動でしたが、予想以上にダメージは少ないようでした・・・その分、人間は疲れましたが・・・。
 
 
クエにマグロ、シラス、和歌山ラーメン、梅干し、ミカン。北海道からはすごく遠いし、たぶん道民にはあまり馴染の無い地方ですが、ほんの数時間の自由時間でも、和歌山には美味しいものがたくさんありました。玄も知らない場所を歩いて見たことのない景色を見て、ヨネも、イヤなこともあったけど初めての体験がたくさんできて、良かったと思います。
 
 
残念なことに南国らしからぬ寒さと雨で、会場ではあまり他県の人と話す機会もありませんでしたが、全国の柴プロが一堂に会する機会。今思えば、もっといろいろ聞きたかったですね。
全国展の開催地は、来年は青梅市のようです。来年どうなるかは分からないけれど、またいつか、KJチームで行けると良いね。

 
全国展関係の写真は、KJのインスタもご覧ください。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

2017年11月29日水曜日

全国展結果

 
展覧会に関して、私たちはずぶの素人ですが、色々と教えてくれる師匠、また、良い経験になるからと背中を押してくれる先輩にも恵まれ、和歌山まで行ってきました。



2戦目(実質初戦)が全国展とは実に勇気ある…、と誉められました?が、今となって思えばどうやら蛮勇です(汗)
 


何しろ全国展は、米(ヨネ)だけでなく、私たち自身にとっても初めて目にするものばかり。まるで日本犬の教科書や雑誌から抜け出してきたような美しい柴犬が、そこいらじゅうにワンサカワンサカ。



村犬のヨネには、世界にはこんなにたくさんの柴犬がいるのか!と、カルチャーショックだったことでしょう。(しかし残念だったのは、前日からの雨風、そして低温。いくつかのリングは水没し、コンディションは最悪でした。)
 
 
かんじんのヨネですが、第1審の個体審査で、良く立っているように見えましたが、審査員が近づくとまるで獲物に向かうように吠えかかり、体高測定もなかなかさせません。
 

改めて写真で見ると、審査員から体を反らすようにやや傾いて立っていますが、尻尾は下がらず、足もその場に踏みとどまって果敢に吠えていましたので、ビビリではなく攻撃吠えです。

 
全国展のリングの中で吠える。そんな犬は他にはいなくて、リングサイドからは、苦笑?失笑?の笑い声が上がる一方、悍威に富んでいて良いのではないか、との声も。
 
 
 原因を考察するに、村犬のヨネは審査員のような背広姿の男性を見たことがない!ということなのですが(笑)、ある意味、ヨネちゃん、非常に目立っていました。
 
 
同じグループの犬がぐるっと輪になって並ぶ第2審の比較審査では、ヨネも審査員に吠えることはありませんでしたので、第1審の審査順がグループの中で最後だったこと(周りに他の犬がいなくなってしまった後に審査員と1対1で向き合うので、気がそらせない)も影響したかもしれません。
 
 
その第2審では、第1審の印象がよほど悪かったのか(吠えられたのだから当然と言えば当然ですが)、審査員はヨネの前を見事に素通りして行きました…。(出陳者としてはやはりガッカリします。たとえ結果が分かり切っているとしても、審査員が審査をしないでどうするんだ!?とKJは怒っています。)
 
 
こちらは、我らがお師匠さんチーム。審査員も長く立ち止まってチェックしており、すごく良い状態に見えたのですが、残念ながら上位入賞はなりませんでした。
 
 
全国展では、中型(紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬)・小型(柴犬)の型別、オス・メスの性別ごとに、年齢・月齢で「成犬」「壮犬」「若二」「若一」の組に分かれて、いかに日本犬標準にかなっているかを審査します。一組の頭数が多い場合はいくつかの班に分けます。ヨネは「小型犬(柴犬)・雌部・若犬二組」のB班でした。
 
  
 
審査は、まず、それぞれの班(グループ)内で順位(席次)を決め、さらに型別に成犬組1席の中から最高賞、準最高賞を決めます。

 
今回、北海道支部からの出陳犬が、柴犬の準最高賞をとりました。全国展は遠方で開催されるので、どうしても出陳頭数が少なくなる北海道支部にとっては、画期的なことのようです。

 
二日間に及ぶ展覧会の最後には、紀州犬、四国犬、柴犬のそれぞれの最高賞が並んで、内閣総理大臣賞を競います。この時には各グループの審査員が集結して、何だかものものしい雰囲気。ギャラリーも固唾を飲んで見守ります。
 
今年、紀州犬94頭、四国犬91頭、甲斐犬・北海道犬8頭、柴犬550頭、総計743頭の日本犬の頂点に立った犬、内閣総理大臣賞は紀州犬!でした。和歌山での開催ですから、リングサイドは大いに盛り上がり、良い審査をしていただいたと歓声が上がっていました。
次点の文部科学大臣賞は四国犬。 
北海道ではお目にかかることの少ない、紀州犬と四国犬。素人目に見ても、狩猟をさせればさぞかしと感じられる、体も顔つきも引き締まった良い犬たちでした。
 
 
さて、ヨネの成績です。ヨネの成績は、小型犬(柴犬)・雌部・若犬二組・B班の「優良18席に入賞」でした。
 

 
全国で18位!同グループの登録28頭中、堂々の18位!と言いたいところですが、実際には途中棄権が10頭いたので、審査対象18頭中の18位=最下位でした。
ですが、全国からそうそうたる有名犬舎の犬とプロのハンドラーが集まる全国展で、素人にとっては「優良」をとることがまずは大きな目標なのだそうです。
 
 
 
審査員に吠えたこともあり、先輩たちからは、優良がもらえなかったのではないか、と心配されました。(評価は、優良→特良→良→可→不可、の順)
だからこれは、とても貴重な賞状、メダルです。
 
 
9月の北海道支部展から2か月。
 
 
プロのみなさんから見れば短すぎる!と叱られるかもしれませんが、毎日の農作業が終わった夜に、公民館や保育所の駐車場で、本番を想定して雨の日も風の日も訓練をつづけたKJとヨネ。そして保護者として付き添い見守った玄。わざわざ支笏湖まで、車中泊の訓練にも出かけたりして。
 
 
 
留寿都村から陸路を走って1,500キロの距離と、30時間の時を超えて、和歌山で、しっかりと全国展のリングに立ちました。
 
 
予想順位のビリからハンドラーの腕で1席アップ、実猟犬としてのヨネの気迫でさらに1席アップの目標こそかないませんでしたが、今回の経験を通じて裏話を含め展覧会の妙味といったものに触れ、ますますやる気になっている、KJチームです。
 
 
日本犬保存会の会報などを読むにつけ、最近の展覧会の、外見最重視の傾向に対しては賛否両論があると承知しています。
その一方で、日本犬標準が求める外観が、長年にわたって培われた日本犬としての本質から形作られる以上、優れた外見には優れた内面が宿ると考えることも理解できます。
 
 
 
これまで、展覧会には特に興味を持たずに来た私たちですが、今後も駆除や狩猟に不可欠なパートナーとして玄の血筋を維持するためには、必ず繁殖が伴うことや、日本犬の本質は猟犬であることを、まさしく現場の実践から確信している者として、良き狩猟犬が展覧会ではどのように評価されるのかということが大きな関心事でもあり、展覧会が身近なものに感じられてきました。
 
 
無論、ショードッグを作ることが目的ではありませんが、日本犬とより深く向き合い付き合う方法の一つとして、展覧会についてもっと良く学び挑戦することも考えたいと思っています。
 
 
 
例年であれば、北海道・東北各支部の春の展覧会は4、5月からスタートしますが、KJチームの今後はさて!?