2017年9月28日木曜日

猟芸


狩猟に使役される犬たちが、獲物に追いついた時、ハンターが来るまでの間、獲物をその場にとどめておく「猟芸」には、「吠え止め」と「咬み止め」の2種類があります。


玄の猟芸は「咬み止め」です。
無言で咬みつき、獲物が暴れてふりほどかれてもひるむことなく追いかけてはまた咬みつき、ひたすらにKJの到着を待ちます。
 
 
一方、米(ヨネ)の猟芸は「吠え止め」です。
玄といっしょに猟に出て、玄を見ながら猟を覚えているのに不思議ですが、ヨネは、獲物に咬みつくのではなく、周囲をとびまわりながら吠えかかり、獲物の気を引いて足を封じます。
 
 
いずれの場合にも一長一短あって、「咬み止め」は確実性が高いけれども、犬が吠えないのでどこにいるか探すのが大変だし、獲物に逆襲されたり引きずられたりして犬が負傷しやすい。
 
 
逆に、「吠え止め」の猟芸は、犬の居場所はすぐに分かるけれども、年長けて胆のすわった獲物には通用しない(迫力負けして逃げられる)ことがあります。
 
 
玄とヨネの、「咬み止め」「吠え止め」の猟芸の違いはオス、メスの違いによるものなのか、持って生まれたそれぞれの個性なのか、はたまた2犬で決めて?あえて役割分担をしているのでしょうか。

 
 ヨネもそのうち咬みつくようになるのか、玄がいなくなった時にどうなるのか、ヨネの子どもはどうなのかなどなど、これまた興味は尽きません。
 
 
いずれにしても、猟場での2犬の姿を見ていると、日本犬の本質とされる「悍威、良性、素朴」、また、その表現とされる「(感覚)鋭敏、(動作)敏捷、(歩様)軽快」は、石器時代からこうして獲物を追ってヒトとともに山野を駆けめぐることによって培われ、それが現代を生きる柴犬の中にもDNAとして脈々と受け継がれていることを実感します。
 
 
イノシシ狩り、シカ狩りの銅鐸の絵
(左:5頭の犬を使ってイノシシ狩りをしている)
 
曰く、私たちはハンターです。
 
 
 

 


 
 
 

2017年9月19日火曜日

受賞


玄の繁殖をきっかけに加入した、日本犬保存会では、天然記念物でもある日本犬(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬)の保護・繁殖と改良発達のために、各県支部単位で春・秋の展覧会を、また、各支部持ち回りで年に一度の全国展を開催しています。
 

展覧会の審査は、日本犬標準に照らし、体高や歯数といった数値基準に加えて、耳や目、尾など各部位の形や、毛質・毛色、また、実際に歩かせて見ての歩様、そして、悍威、良性、素朴とされる日本犬の本質表現まで、本部から派遣される審査員によって厳正に行われます。

 
今回、初めて北海道支部展に参加して来ました。
最初は見学だけと思っていたのですが、Oさんに勧めていただき、記録に残るし記念になるからということで、米(ヨネ)を小型犬(柴犬)・若2組(1歳~1歳6か月未満)クラスに出陳しました。
 
 
周囲はほとんどがプロのブリーダーさんたちという中、展覧会用の綱もOさんに編んでいただき、KJと2週間ほど特訓しての出陳です。
 
 
ヨネは、最初は村と違う人の多さ、犬の多さにビビッて震えたり、吠えたり、尻尾が下がってしまっていたけれど、次第に場慣れしてきたのか、リンクに入るとシブい顔して(笑)立派に立っていましたね。歩様含めて、犬舎の方々からも誉めてもらいました。

 
KJも、右も左も分からない初体験で、緊張する間も無かったと言っていましたが、見よう見まねで上手にハンドラーやっていました。
常連のみなさんも、ヨネに櫛を貸してくれたり声をかけてくれたりと、とても親切にしてくれました。

 
結果、ヨネ号、優良の評価をいただくことができました!(評価は優良→特良→良→可の順)
加えて、若犬賞(若1組、若2組の上位3割に授与)、道内最高賞(小型及び中型の若2組の中で最良のものに授与)までいただきました!
なんと、全国展(11月18~19日、和歌山県)への出陳資格ももらえちゃったんですね。
 
 
Oさんからは、日本犬には体高や歯数の基準があるので、展覧会に出せるだけでも特別なことなんだと聞き、素人ながら思い切って参加しましたが、実に楽しい一日でした。
会場ではプロのみなさんから、犬の見方や立たせ方の話なども色々と教えていただき、こんなに素晴らしい賞状と盾までいただいて、本当に幸運でした。
 
 
いっしょに連れて行った玄も、出陳こそしませんでしたが、多くのみなさんから毛色やたたずまいを誉めていただき、とても気持ちが良かったです。
  
 
まだまだ、ほんの少しかじっただけではありますが・・・日本犬の繁殖や評価は、奥が深くて興味深いことだらけなんですね。
良く頑張ったヨネとKJ、今回はビギナーズラックもありましたが、もっといろいろと勉強もしたいし経験したいと張り切っていますよ。

 
展覧会の写真はインスタグラムでも紹介しています。